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使用語句と定義

「音楽分野の著作権基礎おぼえがき」 で使用している語句とその定義は以下の通りです。

使用語句一覧

あなた

著作権法

著作物

二次的著作物

著作者

変名

著作隣接権

実演

実演家

レコード

レコード製作者

原盤

商業用レコード

公衆

公衆送信

放送

有線放送

自動公衆送信

送信可能化

複製

映画の著作物

録音

録画

上演

口述

頒布

発行

あなた

このページをご覧いただいているお客様のことです。

あなたは自身で作詞・作曲する著作者であり、また 自身で歌唱・演奏する実演家であり、レコード製作者である方、さらにいずれの財産権も他人に譲渡していない、という設定です。

著作権法

「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」 (同法第一条)

知的財産権の一つである著作権の範囲と内容を定めた日本の法律のことです。

著作権は、著作者実演家又はレコード製作者であるあなたの権利の保護を図り、それをもって文化の発展に寄与することを目的としています。権利の保護によりあなたは経済的利益を得ることができ、持続的に創作に専念し、良質の楽曲を社会に提供し続けることができます。

著作物

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」 (同法第二条第1項第一号)

「表現した"物 (有体物) "」 ではなく 「表現した"もの (無体物) "」 と定義されていますので、音楽の著作物は無体物である詞や曲そのもののことです。それらを収録したLP盤やCD盤は著作物ではなく、著作物である詞や曲を公衆に伝達する手段としての工業製品です。

参照 : 2章 商材となる詞と曲

二次的著作物

「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、 映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。」 (同法第二条第1項第十一号)

一つの著作物を原作とし、新しい創作性を加えて創られたもののことです。原作となった著作物とは別の著作物として二次的著作物は保護されます。

二次的著作物も著作物であるため、創作的であることが要件です。翻訳・編曲・変形・翻案はそれぞれ以下のようなものを指します。

○ 翻訳とは言語体系の異なる言語で表現すること。
○ 編曲とは原曲に新たな創作性を加えること。
○ 変形とは表現形式を変更すること (マンガのキャラクターのフィギュア化など) 。
○ 翻案とは非演劇的な著作物を演劇的な著作物に置き換えること (マンガの映画化など) 。
※あくまで 「新しい創造性」 を加えることであるため、キーの変更程度は編曲にあたりません。

原作の著作者は二次的著作物の創作権が保護されているため、事前に原作の著作者の許諾が必要です。また第三者が二次的著作物を利用する際には、原作の著作者と二次的著作物の著作者の許諾が必要です。

著作者

「著作物を創作する者をいう。」 (同法第二条第1項第二号)

音楽の分野では、音楽の著作物である詞と曲を創作する者、作詞者・作曲者のことです。日本の著作権法下では作詞や作曲する行為 (著作) とそれを演奏する行為 (実演) は別とされていますので、他人が作詞作曲した著作物をあなたが歌唱・演奏する場合、あなたは著作者ではなく実演家となります。編曲は二次的著作物です。

参照 : 3章 著作者の権利

変名

「著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称 (以下 「実名」 という。) 又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの (以下 「変名」 という。) として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。」 (同法第十四条)

変名とはいわゆる芸名のこと、周知とは関係者に広く知られている状態のことです。周知の変名とは 「その変名がどの人物のことか関係者に広く知られている状態のこと」 を指します。このことは、著作物の保護期間に影響します。

著作隣接権

「実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利 (以下 「実演家人格権」 という。) 並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。」 (同法第八十九条第1項)
「レコード製作者は、第九十六条、第九十六条の二、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項に規定する権利並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。」 (同法第八十九条第2項)

実演家レコード製作者に発生する権利です。

著作物は伝達する者の協力があってこそ利用したい人の元へ届けられます。そこで著作権法では、著作物の伝達に従事する者の権利を著作権とは別に保護しています。著作物に隣接する形で発生する権利であるため、著作隣接権と呼称されます。

※放送事業者にも著作隣接権があります。当コンテンツの趣旨により割愛しています。

参照 : 4章 実演家の権利
参照 : 5章 レコード製作者の権利

実演

「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること (これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。) をいう。」 (同法第二条第1項第三号)

音楽の分野では、歌唱や楽器演奏などのことです。俳優の演技なども実演にあたります。

実演家

「俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。」 (同法第二条第1項第四号)

音楽の分野では、ヴォーカリストやギタリスト、ピアニスト、指揮者などのことです。実演家は著作者と異なる権利で保護されます

参照 : 4章 実演家の権利

レコード

「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの (音をもつぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。) をいう。」 (同法第二条第1項第五号)

音 (著作物に限らない) を固定 (録音) したもの ("物"ではなく"もの") のことです。その媒体は具体的に定義されていませんので、録音したCD、録音したハードディスク内のデータもレコードです。

レコード製作者

「レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。」 (同法第二条第1項第六号)

音を技術的に固定 (録音) したエンジニアのことではなく、原盤制作に必要な費用 (スタジオ使用料・エンジニアの料金・バックミュージシャンの演奏料・編曲料・機材の使用料・レコーディング時の飲食代など。マスタリング作業は原盤制作に含まれない) を支払った者のことです。レコード製作者は著作者の権利および実演家の権利とは異なる権利として保護されます。

「レコードに固定されている音を最初に固定した者」 が 「音を技術的に固定したエンジニア」 のことではない理由は、平成19年1月19日、東京地方裁判所で判決が出された 「送信可能化権確認本訴請求事件」 の判決文によるものです。

“著作権法上,レコード製作者とは, 「レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。」 (著作権法 2条1項6号) と定義されているから,レコード (同法2条1項5号) に入っている音を初めて蓄音機用音盤,録音テープその他の物に固定した者,すなわち,レコードの原盤の制作者を指すものと解される。そして,レコード製作者であるためには,いかなる方式の履行をも要しないものであるが (同法89条5項) ,物理的な録音行為の従事者ではなく,自己の計算と責任において録音する者,通常は,原盤制作時における費用の負担者がこれに該当するというべきである。”

参照 : 5章 レコード製作者の権利

原盤

慣例上、原盤は 「レコードに固定されている音を最初に固定したレコード」 のことを指します(著作権法に 「原盤」 は定義はされていません)。

レコード製作者は、そのレコードを作った時点でそのレコードを複製することを許可するかしないかを決定できる権利・複製権を有します。その決定権は、レコード製作者が複製を許可しない限りそのレコードは世界にたった一つしか存在できないことになる強い権利です。そのため 「全ての複製品の原型となるレコード」 という概念が生まれ、原盤と呼ばれています。

なお原盤制作に関する契約を行う際、契約書に 「原盤とは実演などを収録した編集済みの磁気テープ、その他の記録媒体を指す」 などと記載されている場合、原盤は 「マルチトラックでレコーディングしたものを2チャンネルにトラックダウンした最初の有体物 (マスターテープ) 」 ということになります。

なおマスタリング作業 (曲順を考えたり、曲間を調整したり、アルバムに収録する全ての楽曲が等しい音量・音圧になるように調整したりする作業など) はあくまで商業用レコードを製造するための作業であり、原盤制作と直接の関係はありません。

商業用レコード

「市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。」 (同法第二条第1項第七号)

レコード店などで取り扱われる"市販用の"CDやLPレコードなどのことです。

公衆

「この法律にいう 「公衆」 には、特定かつ多数の者を含むものとする。」 (同法第二条第5項)

公衆とは、 「不特定の人」 または 「特定多数の人」 のことです。 "多数"の具体的な人数は明文化されておらず、場合によって判断されます。

よって、 「不特定の人」 でも 「特定多数の人」 でもない 「特定少数の人」 は公衆にはあたりません (車内で同上している家族に向けて歌を歌うなど) 。

公衆送信

「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信 (電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内 (その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内) にあるものによる送信 (プログラムの著作物の送信を除く。) を除く。) を行うことをいう。」 (同法第二条第7の2項)

後掲の放送有線放送自動公衆送信などのことです。

放送

「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。」 (同法第二条第1項)

無線で番組を受信者の手元まで"常に"届けるテレビやラジオなどのことです。"常に"とは、受信者が求める求めないに関わらず一方的に常時送信されている状態を指します。

なお、放送を業として行なう者を放送事業者と言い、テレビ局やラジオ放送局がそれにあたります。 (出典 同項第九号)

インターネット放送や動画共有サイトなどでの音楽・映像の公開などは、受信者がリクエストしない限り自動公衆送信装置 (サーバー) から端末 (スマホやパソコン) へ内容の送信は行われず、 「同一の内容の送信が同時に受信されることを目的」 としているとは言えないため、著作権法上の放送には該当しません。

有線放送

「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。」 (同項第九号の二)

有線で番組を受信者の手元まで"常に"届けるケーブルテレビやUSENなどのことです。"常に"とは、受信者が求める求めないに関わらず一方的に常時送信されている状態を指します。

なお、有線放送を業として行なう者を有線放送事業者と言い、ケーブルテレビ局や株式会社USENがそれにあたります。 (出典 同項第九号の三)

インターネット放送や動画共有サイトなどでの音楽・映像の公開などは、受信者がリクエストしない限り自動公衆送信装置 (サーバー) から端末 (スマホやパソコン) へ内容の送信は行われず、 「同一の内容の送信が同時に受信されることを目的」 としているとは言えないため、著作権法上の有線放送には該当しません。

自動公衆送信

「公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの (放送又は有線放送に該当するものを除く。) をいう。」 (同項第九号の四)

例えばインターネット上の自動公衆送信装置 (サーバー) に内容をアップロードし、利用者がアクセスすることによって内容を送信するようなことです。

放送有線放送との大きな違いとして、自動公衆送信は受信者がリクエストしなければ内容は送られてこないことが挙げられます。ウェブサイト・動画配信・音楽配信・ウェブキャスト・動画共有サイト・インターネット放送・インターネットラジオなどががこれにあたります。

送信可能化

「自動公衆送信し得るようにすることをいう。」 (同項第九号の五)

自動公衆送信装置 (サーバー) に著作物をアップロードし送信可能な状態にすることです。

複製

「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」 (同法第二十八条)

著作物を形ある物に再製 (コピー) することです。

あなたの著作物をレコーディングして原盤にすることや楽譜にすることなどを指します。その原盤をもとにCDプレスすることも楽譜を印刷して出版すること、さらにはレコーディングスタジオで時間をかけてレコーディングすることもライブ演奏を即時的に録音することも含まれます。

映画の著作物

「この法律にいう 「映画の著作物」 には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。」 (同法第二条第3項)

著作権法に 「映画」 の定義は設けられていませんが、 「映画の著作物」 はこのように定義されています。よって、あなたのライブDVDが映画の著作物にあたるかどうかは、この定義にあたる内容であるかどうかによることになります。通例、カメラワークや編集方針にあなたの個性が現れており創作性があるものは映画の著作物とされます。

録音

「音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。」 (同法第二条第1項第十三号)

音を物に固定することです。レコーディングなどがこれにあたります。さらに、あなたの実演が録音されたCDを複製することも録音になります。

録画

「影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。」 (同法第二条第1項第十四号)

影像を連続して物に固定することです。ムービー撮影などがこれにあたります。さらに、あなたの実演が録画されたDVDを複製することも録画になります。

なお写真撮影は 「影像を連続して物に固定」 にあたらないため、録画ではありません。

上演

「演奏 (歌唱を含む) 以外の方法により著作物を演ずることをいう。」 (同法第二条第1項第十六号)

歌唱を含む演奏以外の方法により著作物を演じることです。

なお、著作権法上の 「上演」 ・ 「演奏」 には、著作物が録画・録音されたCDやDVDを再生することや、離れた場所にあるスピーカーを使って聞かせることも含まれています。 (出典 同法第二条7項)

口述

「朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること (実演に該当するものを除く。) をいう。」 (同法第二条第1項第十八号)

言語の著作物 (歌詞・小説・論文など) を朗読などの方法によって口頭伝達することです。

なお、著作権法上の 「口述」 には、著作物が録画・録音されたCDやDVDを再生することや離れた場所にあるスピーカーを使って聞かせることも含まれています。 (出典 同法第二条7項)

頒布

「頒布有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。」 (同法第二条第1項第十九号)

有料無料に関係なく公衆に譲渡・貸与することです。

発行

「著作物は、その性質に応じ公衆の要求を満たすことができる相当程度の部数の複製物が、第二十一条に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者によつて作成され、頒布された場合において、発行されたものとする。」 (同法第三条)

公衆の要求を満たすことができる相当程度の部数の複製物が頒布 (配布や販売) されることを指します。

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※著作権法をもとに制作現場の一般事情を加味し、かつ音楽分野の視点で構成しています。図版・文章の正確性を保障するものではありません。詳しくは文化庁発行の 「著作権テキスト」 「著作権に関する教材資料等」 をご覧ください。
※このおぼえがきは平成25年に書いたものです。閲覧されている現在の状況とは異なる場合があります。
※参考文献 : 『著作権テキスト/文化庁』 『すぐに役立つ音楽著作権講座/秀間修一』