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1章 利用許諾で利益発生

著作者は、 「著作権法の保護のもと、著作物である詞と曲を商材にして、その利用料を請求する」 ことで経済的利益を得ていきます。

利用することで (聞くことで) 失恋の傷を癒したい。
利用することで (放送に流すことで) 番組を成立させたい。
利用することで (BGMとして流すことで) ショーのステージを格好良くしたい。
利用することで (CMソングに起用することで) 商品の売上を増やしたい。

これら全てが著作物を 「利用する」 行為です。著作権法の保護のもと、他人があなたの著作物を利用することを許諾するかしないかあなたが決定できます。その決定権に経済的利益が発生します。著作物の数が多いほど、品質が高いほど多くの利用料を請求できることを意味し、著作物が利益を生む仕組みの基本となります。

3つの商品価値 「著作者・実演家・タレント」

作詞作曲し自ら演奏するアーティストの場合、3つの商品価値 「著作者・実演家・タレント」 が備わっています。

著作者とは詞と曲を生み出すこと。実演家とは演奏・歌唱すること。タレントとは容姿や言動に商品価値があること。利用したい人が多くなるほど価値が高くなるため、磨いて売り出し商品としての訴求力を高めていきます。

著作物で経済的利益を得ることは、 「利用料を対価に利用許可を与えること」 です。これをビジネスにする場合大規模で持続的かつ速度が必要です。そこでそれぞれ 「音楽出版社・レコード会社・プロダクション」 が業務を分け合っています。

さらにその中では多種多様な人が業務を分担します。才能を育てる人・戦略を立てる人・著作物を形にする人・それを販売する人・広告する人など。著作物伝達に従事する人と力を合わせて 「著作物を利用したい人を増やす」 ために行動していきます。

音楽出版社 : あなたが著作した詞と曲を管理し不朽の名曲に育てます。

音楽出版社は、著作物・詞と曲そのものを管理します。 「名曲を時代を超えて利用される不朽の名曲にまで育て上げて」 利用したい人を増やすことが分担です。今日の名曲が10年後に忘れ去られてしまうことがないよう、楽曲そのものの利用をうながします。他アーティストによるカバーをはじめCMソングへの起用やサンプリングの元素材にしてもらうこともそのひとつです。あなたは音楽出版社に著作物の管理を委託するため、著作者としての財産権を担保に契約することになります。

レコード会社 : あなたの実演を録音した商業用レコードを売ります。

レコード会社 (レーベル) は、実演家の実演を録音した 「商業用レコードそのものを一般購買層に売って」 利用したい人を増やすことが分担です。原盤制作にはじまり・プレス・流通・音楽配信を行い、リリースイベントなどの販売促進を実行します。あなたはレコード会社と共に原盤制作を行うため、実演家としての財産権を担保に契約することになります。

プロダクション : あなたのタレントとしての魅力を高めて広めます。

プロダクション (所属事務所) は、 「本人の魅力を高めて広めて」 利用したい人を増やすことが分担です。魅力が高いほど、知名度が高いほど利用したい人を増やすことが出来ます。番組出演やライブツアーのブッキングなども業務に含まれます。商品として魅力を損なうと判断されたあなたの言動は諌められることもあります。そうしたことも含めてあなたという商品を管理・育成します。

よって著作物・音楽出版社・レコード会社・プロダクションのいずれかが弱ければ、以下の事態が起きます。

○ 著作物の質が悪く、誰も利用したがらない。
○ 著作物の質は良く認知度もあるが権利の履行が悪く、正当な利益を回収できない。
○ 著作物の質は良いが認知が不十分で、利用者が少ない。
○ 著作物の質は良いが本人の素行が悪く、協力者が近づかない。

著作物で経済的利益を得ることは、 「著作物を利用したい人を増やす」 ことに集約されます。著作権を単独で管理して活動する場合も複数人で行う場合も、この三者の役割をうまく機能させ目的達成に向かいます。

つづいて 「具体的にどのような詞と曲が著作物と定義されているのか」 について見ていきましょう。

← はじめに 2章 商材となる詞と曲 →

※著作権法をもとに制作現場の一般事情を加味し、かつ音楽分野の視点で構成しています。図版・文章の正確性を保障するものではありません。詳しくは文化庁発行の 「著作権テキスト」 「著作権に関する教材資料等」 をご覧ください。
※このおぼえがきは平成25年に書いたものです。閲覧されている現在の状況とは異なる場合があります。
※参考文献 : 『著作権テキスト/文化庁』 『すぐに役立つ音楽著作権講座/秀間修一』